chip of wood

それは昔のお話し 僕が生まれる前の遠い国での話

 僕が憧れること。時間を距離を越えること。
 その方法が一つ分かった。
 遠い異国で昔歌われた歌を歌ってみればいい。ギターを手に奏でてみればいい。
 僕の生まれるずっと前の行ったこともない国の風景が、そこで暮らす人々の想いが僕の指先から喉から音と言葉になって目の前に姿を現す。
 必死に練習をして、手を伸ばし続けると、僕の心はやがて時間と距離を超えてそこにたどり着く。

 「こんにちわ。あなたの生み出した音と言葉はここまでたどり着きましたよ」

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穏やかに生きるために知っておいて欲しいこと

 あなたは明日死ぬことはありません。あなたの人生には限りがありますがそれでもきっとあなたの想像以上のことをする時間は十分にあります。
 あなたが死んでも終わりではありません。あなたが死んだあともあなたの歩んだ道の幾つかは誰かが進んでくれます。
 あなたの人生は確かに生まれた時に始まりましたが、生まれてから今日までがあなたの全てではありません。あなたが生まれた時に既にあなたへの誰かの想いが存在し、その誰かの思いを辿り、始まりに至るには時間はいくらあっても足りません。故にあなたの生の始まりがあなたの存在そのものの始まりではないのです。あなたはあなた自身でなくなることはありません。あなたは長い長い線の一部分でしか無いのですから。
 あなたが愛されて生まれてきたのなら、何かを手渡さずに死ぬことは許されないように僕には思えるのです。それは誰かを愛すること以上に大切なことが、いままでの僕の人生において、まだ見つけられていないからです。
 この国は何を愛しこれから何を愛そうとしているのでしょう。
 かつて自由を愛したあの国は、いまでも自由を愛しているのでしょうか?
 理想だけでは何も語れないでしょう。しかし、僕にとっては理想が何もないのならそもそも語ることに意味など無いのです。

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年がら年中夏だった

 夏が終わる。また夏を思う日々が始まる。
 僕が生まれたのは10月で、もう既に夏が終わってしまっていたからたいそう悔しい思いをした。
 寂しさを湛えた秋雨の中で産声をあげ、見上げた空は赤く染まる夕焼けだった。
 だから僕はいつだって切なくて物足りなくて、先に来る季節を待ちわび続けている。

 そんな自分を元気にするためにここでBlue Skirt Waltzによる素敵な詩を朗読しよう。

 夕焼け色の帰り路 ばらいろのクレヨン 無敵のスター
    明日はもっと 上手に歌えますように
    明日はもっと やさしくなれますように
     明日も君が 笑っていられますように

 ある日、通りを歩いていて偶然通りかかったギャラリーで最初に心に飛び込んで僕を動かしたのは彼女たちの絵だったのだけど、僕がずっと凝視し続け心を奪って離さなかったのは彼女たちの言葉だった。
 
 でもやっぱり夏に生まれたかったなぁ。

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穏やかな時間

 ぼんやりと眠りに落ちていく。不意に目が覚める。散歩をしてのんびりとタバコを吸う。
 音楽を聞いて、誰かのことを思う。ご飯を食べて生きていることを思う。家を出る。
 見知らぬ誰かとすれ違い続けながら仕事へと向かう。
 「おはよう」から誰かと共に過ごす一日は始まる。
 「また何処かで」で誰かと共に過ごす時間は終わりを告げる。
 見知らぬ誰かとすれ違い続けながら家へと向かう。
 もっと誰かと話したいと思ったら、僕は寄り道をする。
 もっと誰かを想いたいと思ったら、僕は寄り道をする。
 自分の部屋でギターを弾いてみる。歌ってみる。
 
 インターネット越しに世界を覗いてみる。
 我が家から20kmほど先にある神宮球場で、野球というスポーツで生きている不思議な人達の戦いについての結果を確認してみる。日本中そこかしこで、野球というスポーツの中で出会い別れ、戦っている人たちがいるのだ。なんだか不思議だ。
 アダルト動画投稿サイトを見てみる。そこでは僕の見知らぬ女性たちが綺麗な体を晒し、僕の見知らぬ男性たちと絡み合う。
 これはいつ何処で起こったことなのだろう?この女性たちはこの時に何を思っていたのだろう?どんなシステムにより、この状況は構築されているのだろう?彼女たちはいま、何をしているのだろう?
 そんなことを思う時もあれば、ただただ、見知らぬ女性への性欲が溢れ、自慰行為にふけったりもする。僕の行為は罪なのか、それとも人間としてまっとうな行為なのか。まっとうな人間というのがそもそも汚らしいものなのだろうか?
 彼女たちにとって僕は汚らしい存在なのだろうか?彼女たちは彼女たち自身のことについてどう思っているのだろうか?
 

 あなたのいるその場所からは何が見えますか?あなたがいるその場所から人間という生き物は、あなた自身という生き物は、僕という生き物はどう見えますか?
 そんな疑問を置き去りにした時に僕は眠りに落ちることが出来る。そんな疑問にちょっとだけ答えが出た時に僕は眠りに落ちることが出来る。 

 目が覚めた時の僕と、眠る前の僕。それは確かに同じ僕なんだろうか?

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なんでも彼女は紙に描かれた僕の物語を読みたいようなので

 素敵な古着屋さんの素敵な店長さんは、僕の描く物語を紙で読んでみたいようなので、北国の東の東に住む狐と友達の草原の少女は、僕の書きかけの物語の続きを読みたいらしくて。

 なんだか僕はその気になってきたのでした。

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