chip of wood

穏やかな詩を

 みなさんお元気ですか。僕は少し疲れてはいるけれどまだ笑えます。
 大切なものを見失ったりもするけれど、泣いて嘆いて誰かに迷惑をかけた末にまた光が差します。

 あれは15年と少し前のことです。僕は明日が来ないことを望んでいました。日々が続くことが苦痛でした。物語にふれることで現実と空想の境界を曖昧にして生き繋いでいました。
 小説を読み、漫画を読み、散歩をする。ふわりふわりと街を彷徨う。そんな存在でした。

 吉祥寺の駅を降りて井の頭公園へと抜ける路。公園に差し掛かる階段。そこを降りる時、僕の口はぷかりとある言葉を口にしていました。
 「楽に死ねる方法ってないのかなぁ ?」
 すると、隣を歩いている見知らぬおばあさんが言いました。
 「老衰は楽に穏やかに死ねるわよ」

 それなら、生き続けて年老いてそれから死ぬしかないな。
 
 何度そのことを思い返してもそれが現実だとは思えなくて、僕の妄想か何かではないかと疑ってしまいます。
 そのおばあちゃんも、そのやりとりも現実かどうかは分かりません。
 でも精一杯生きたあとにこそ穏やかな死があるということは、きっと紛れもない事実なんでしょうね。

 おばあさん。あなたは本当にあの時あの場所に居ましたか?あなたはいまも生きていますか?穏やかな死を迎えられそうですか?それとも、もう穏やかに笑ってこの世を去ったあとですか。
 あなたと交わした会話は一言だけ。あなたの顔も思い出せないし、あなたの名前も知りません。
 でも僕はいまも生きていますよ。穏やかな死を目指して生きてますよ。

 みなさん。お元気ですか ?
 生きることは辛いですか ?
 きっと誰もが辛く泣き出したい日々を超えて今日、そこにいて、僕のこの文章を読んでくれているのでしょう。
 頑張ってみましょう。穏やかな死はあるのです。それは必死に必死に生き抜いたあとに訪れるのです。
 さぁ、死ぬまでに僕はあと何回「おはよう」というのでしょう。明日になれば明日が来ます。未来が来れば未来が待ってます。
 おばあさんが死んだあとにも僕は生きてます。僕が死んだあとにもきっと...。

 それだけで、少し笑顔になれませんか?
 

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