chip of wood

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 僕は仕事を辞め収入が失くなったため携帯電話を停止させた。パソコンからログインしていたLineも電話番号認証ができなくなったため使えなくなった。いま、僕が持っている連絡手段はスカイプとgmailだけだ。その2つに登録されていない人とは連絡が取れなくなったということになる。住所が分かれば尋ねられるし手紙も送れる。でも僕の住所を知っている人も僕が住所を知っている人もいないに等しい。
 不意に不思議な感覚に陥る。
 彼らといま僕は連絡ができない。僕はいま、彼らと繋がっていない。では僕を彼らと繋がっていられたのはLineと携帯電話だったのだろうか?僕は何らかの別の手段を講じてまで彼らと連絡を取ろうとするだろうか?彼らはどうだろうか?
 「いつだって連絡は取れる」その事実が僕の他者との関係構築を薄っぺらいものにしたのだろうか?つだって連絡が取れる状態でなくなったその時に終わる程度の関係しか築けていなかったのだろうか?

 だがそんな疑いを晴らすように、僕がこれから何年も、誰とも連絡を取らず、社会から半ば隔絶されたとしても、いつか必ずなんとかして連絡を取るであろう三人が浮かび上がった。

 そのうちの一人に至っては本当に僕には消息不明でいまどこで何をしているのか分からない。
 彼女と僕はたまにイベントで顔を合わせるくらいで、お茶を飲みに行く約束も、お花見に行く約束も果たせないままだ。
 僕は彼女の描く絵が大好きだった。僕は自分の作り出した物語に望みどおりに誰にでも絵をつけてもらえるよと言われたのなら彼女の名前をあげるだろう。
 彼女の絵は本物だった。「本物とはなんだ?」と言われても僕にはまだ答えられない。ただ、僕は古い絵本や美術史の書物の中で見出すものと同じものを彼女の絵の中に見出したのだ。だから彼女ともう一度何かを作りたいと僕は願う。彼女の絵を始めて見た時からそれは変わらない願い。
 だから、彼女の存在がどうしても必要だと思ったその時には、僕は何が何でも連絡を取るのであろう。

 それならば、いまどれだけ他者との連絡手段を失い、どれだけ友人たちとの記憶から薄れていってもそれほど問題ではないのだ。
 ただ、寂しいという気持ちに耐えるのが少々苦痛なだけだ。
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